QOLという言葉が、介護の現場でも頻繁に聞かれるようになってきました。QOLとは、クオリティオブライフの略語でありわかりやすくいえば、生活の質や生命の質ということもできます。高齢化が進む日本にとって高齢者のQOLの向上を目指す取り組みは欠かすことのできない状況です。
高齢者一人一人に合わせての介護サービスの提供が従前にも増して重要視されるようになってきました。老人保健施設やサービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどの介護施設においても、それぞれの入所者の意向や意思を尊重することを目的とした試みがなされています。
高齢者にまつわるQOLでは、病気の治癒などにおいて、その治療方法や治療方針をめぐって話し合われる機会が多いことでも知られます。
例えば、がんなどを発症してしまった患者をめぐっては、根本的治癒を目指して副作用が強い医薬品を用いての治療を選択することなく、痛みの緩和などをメインにした治療を行うなどの選択も考えられます。抗がん剤などを使えば、吐き気や脱毛などの大きな副作用に見舞われることは避けられませんが、緩和ケアを選択すれば、根治は難しいにしても副作用に悩まされる心配はありません。どちらを選択するかを本人に委ねることも、QOLの大切な取り組みです。特に終末期を迎えた高齢者にとっては、無視することができない問題といえます。
また、介護を必要とする高齢者の中には、美容やエステなどのオシャレに関心を持つ人も少なくありません。そのような人のために、定期的に介護施設に美容師を招くなどの取り組みも有用です。